投稿者:
• 2009/ 01/ 11 (日)

石川歯科医院 石川 正浩

Ⅰ緒 言:

 近年、インフラント治療においても、審美への追求が強く求められるようになってきた。
特に上顎前歯部は、硬組織・軟組織に様々な問題を抱えることが多く、歯間乳頭の消失、ブラックトライアングルの出現、唇側歯肉の退縮などの変化がみられないように、その周囲組織の構造を保つことも必要である。そこで最近では、抜歯即時埋入や軟組織を保持するための即時プロビジョナルの応用と周囲組織の審美性と予知性を踏まえたソフトティッシュマネー一ジメントが必要不可欠であると考えている。
 そこで、今回抜歯即時埋入と同時に行った遊離歯肉移植と即時プロビジョナルにおける軟組織形態の再建を行ったのでここに報告する。

Ⅱ症 例:

 61歳の女性で、外傷による上顎前歯部歯牙脱臼と咀嚼障害を主訴に来院した。旅行中の転倒による外傷で、受傷6日後の来院であった。右上1は、完全脱臼しており歯牙紛失、右上2及び左上1 2は、歯根が短くさらに唇側ヘフレアアウトし動揺度2を呈していた。応急的にT-Fixし、患者とご相談の上、患者は最終的な治療として、動揺歯を保存し、完全脱臼した右上1のインプラント治療を選択した。粘膜剥離したところ、唇側骨の裂開を認めたため、インプラント(GC テーパー)を35Nで埋入し、裂開部をOsferion(β-TCP)、自家骨、PRPにてGBRし、GoreTexメンブレンにて遮断した。術後約2ヶ月頃創部の感染がみられ、GoreTexメンプレンを除去、術後半年で2次手術を行い、フロビジョナルを装着した。患者より、右上2、左上1 2へのインプラント治療の希望が出てきたため、治療方針変更となり、フラップレスによる抜歯即時埋入(1回法)を行い、より審美性を求め、右上1への遊離歯肉移植を行った。遊離歯肉移植は、右上3 4の口蓋部より結合組織を採取し、右上1唇側歯頸部へ移植し縫合した。その後、事前に作製しておいたプロビジョナルを右上2から左上2へ装着、やや歯肉を圧迫するような基底面形態を付与し歯間乳頭の再建を促した。
 後に創部治癒を確認し、再度プロビジョナルの装着、最終補綴物の装着(セメシトリテイン)を行った。アバットメント、上部構造は、プロセラにて行い、周囲歯肉の形態回復とともにより審美を追求した症例となった。

Ⅲ結 果:

 装着後は、下顎前歯部に歯列不正があろものの、患者にとって満足いく結果となった。インプラントの追加埋入というケースとなったが、そのことにより、上顎前歯のバランスがとれ、周囲歯肉への配慮が取りやすくなった。

Ⅳ考察および結論:

 前歯部は、骨、軟組織ともに苦慮するところであり、シビアな診断と適切な治療計画が重要となる。今回のケ-一スでは、外傷による骨の破壊、軟組織の損傷もありさらに難症例であったが、適切なソフトティッシュマネージメントにより、審美性と予知性を獲得し得た症例になったと考えています。インプラント治療においても歯周外科同様、軟組織への配慮の重要性を改めて痛感するところです。

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