日本歯周外科学会認定指導医 竹内 精司
Ⅰ 緒 言:
根尖病巣を伴う失活歯に対して通常の歯内療法では治療が望めないような症例では、「歯根端切除手術」がその選択肢の一つであり、これまで種々の外科的アプローチ法が紹介されてきた。しかし、病巣部への到達の難易度や冶癒後の瘢痕形成などの点で、いずれの方法も一長一短があることが指摘されてきた。
発表者竹内は、数年前より、エドラン&メイチャー氏が考案した口腔前庭拡張術の切開・剥離の技法を歯根端切除手術に応用することにより、病巣部への到達がより容易になり、しかも術後の瘢痕形成がほとんどみられなことを確認したので、ここにその術式と若干の症例を発表させて頂きます。
Ⅱ 術 式:(当日イラストにて発表の予定)
Ⅲ 症例とその結果:
佐○金○(男性・68歳)、上顎左側中切歯歯根嚢胞の治療として嚢胞摘出術と歯根端切除手術を、エドラン&メイチャー氏による口腔前庭拡張術に使われた切開・剥離法を応用して行い、良好な結果を得たので当日発表させて頂きます。
IV考察と結論:
尖病巣部への外科的アプローチ法として、バルチェ法、ワズムンド法、伊藤(輝)三角弁形成法、などが紹介されてきたが、エドラン&メイチャー氏の術式を応用した切開剥離法は、技術的に若干複雑であるが、剥離後の病巣へのアフローチが容易で、1歯のみならず2~3歯に広がる根尖病巣(歯根嚢胞)への応用も可能である。また、口腔前庭を拡張する必要がないので、根尖病巣に対する処置か終了した後は、骨膜・筋肉層弁は十分歯冠側に牽引して縫合し、最後に上皮粘膜弁を口腔粘膜切開線で縫合する必要がある。これらの縫合が適切に行なわれれば、術後に瘢痕形成することなく粘膜の弾力や伸展性は十分回復することが可能である。
