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• 2009/ 02/ 15 (日)

講師 伊藤 輝夫

日本歯周外科学会会長・認定指導医・日本口腔外科学会専門医・指導医

 日常臨床において、中高年患者の歯肉に散見される歯肉着色はメラニン色素あるいは歯科用金属材料に由来するものか、また、その両者の合併症である。特に重金属由来の着色は、単に審美性障害を問題視するだけでなく、歯科治療時に使用される金属材料に起因する言わば医原性疾患であることが問題であり、こうした為害性金属材料を保険適用から排除することが、解決の原点であることを、先ず強調しておく。この金属由来の歯肉着色は、歯科保険診療における保険適用金属材料(先進諸外国では、現在使用されていない)として、長年にわたり厚生労働省が歯科用金属材料(銀合金、金パラジュウム、ニッケルなど)として、使用を指定されてきたため、保険診療の場において、これら非金属類が口腔内に存在した結果、金属のイオン化による生体への溶出により、結合組織内でマクロファージが取り込み、病理学的には黒色顆粒として診断され、いわゆる歯肉の「刺青」として認識されている。なお、この金属着色は生体内においては、消化吸収、あるいは消失、自然排除されることは無い。

 近時、診療情報の開示の機運にあり、医療行為の説明と結果責任が間われる今日、患者から金属修復物周囲歯肉の着色を指摘され、原因を間われた際には、歯科医は、その原因説明と責任をもって着色歯肉を完全に除去する治療法を行うことが義務であり、患者からしてみれば当然の権利である。このように、金属材料による歯肉着色は保険制度により引き起こされた被保険者の生体への侵害であり、従って、当然、保険制度で救済されなければならないにも拘らず、現行の保険制度の中には療養給付の対象としての位置付けがなされてない。このことは、患者は無論、歯科医にとっても悲しむべき保険制度下の現実であるが、だからと言って、良識ある歯科医として、患者の訴えを無視することなく、今日まで種々治療法が試みられてきたが、未だ、十分納得できる審美性治療法は見出されていない。

 ここで、歯肉金属着色の難治性と、その間題点を示すならば、

  1.  黒色顆粒の局在性からして、物理的除去法を行う以外にない。
  2.  歯肉表層からのアプローチは組織欠損を招く。
  3.  歯肉全層弁剥離によるアプローチは術後、歯肉縁の退縮を招く恐れがある。
  4.  従って、歯肉の審美性を損なっている金属着色を完全に除去することは、結果的に歯肉の形態的醜形を招くことになる。

 そこで本講演においては、歯肉組織に対する外科的侵襲を最小限にとどめ、再生医療を応用した審美的歯肉黒色顆粒除去法を供覧し、先生方のご高批を得たい。そして療養給付の対象として、速やかに位置付けされることを願って止まない。

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2 Responses
  1. 公開されたくないのですみません より:

    現在、上前歯茎にある歯肉着色に悩んでおります。上前歯二本の虫歯が原因で、数年間で義歯(被せ)、差し歯、抜歯、ブリッジを行ってきました。数年前よりブリッジの右端歯茎(際から2ミリ位上に1センチ四方の大きさ)に真っ黒い着色が出来、歯医者さんに相談した所、差し歯の土台に使った金属の浸食と、金属を取り除く際に飛び散った残りカスが着色の原因と説明されました。
    現在、これを少しでも目立たなく出来る治療をして頂ける医院が無いものかと探しております。
    特別な事(美容整形の様な)を求めた結果では無く、普通に治療してきただけなのに前歯の歯茎が真っ黒になってしまい、笑う時は必ず手で口を覆い、日々切ない思いをしています。ネットで審美歯科の情報を見ていますが、高額な治療費に躊躇するばかり。なぜ、治療した結果、このような状態になり、改善方法が無いし、あったとしても保険で治療出来ないのでしょうか? こんなに醜くなってしまうのであれば、金属の土台を入れたりしたくは無かったです。一つの悪い状態を違う悪い状態に移行しただけでは無いでしょうか。こんな医療っておかしいと思います。
    どこにもぶつける所が無く、ここに現在の気持ちをコメントさせて頂きました。気分を悪くされたら申し訳ありませんでした。これからも医療が発達し現状から抜け出せる治療をして頂ける日を心待ちにしております。

  2. 事務局 より:

     返信が大変遅れまして申し訳ありません
    良く分かりました。上顎前歯部歯肉の着色(金属の溶質によることが多い)は目立ちますので、気にされておいででしょう。
     一般の歯科では、上手に除去できないと思います。歯周外科手術を学んだ歯科医ならば相談にのって頂けると思います。
     貴方のお住まい何処かわかりませんが、一度、名古屋市瑞穂区田光町のアイ・デンタルクリニックにお電話 ⇒(052) 851-4180 下さい。

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